小金井リベラルアーツセンター センター長あいさつ

理系学生のリベラルアーツ

 小金井リベラルアーツセンター(通称KLAC:ケーラック)は、 小金井キャンパスの教養教育のありかたを、専門教育との関連を図りながら検討し、カリキュラムの開発支援と適切な運営を図るために2012年に設置されました。小金井キャンパスには、理工学部、生命科学部、情報科学部の3つの学部があり、KLACは現在、理工学部と生命科学部の教養科目、カリキュラムに関する活動を展開しております。初代の間下センター長、第二代の和田センター長、第三代の濱本センター長、第四代の小林センター長のご努力、ご苦労がありここまで様々な課題を解決し、活動してまいりましたが、取り組むべき課題は尽きず、また、理系学生に対する教養教育の在り方ということにも考えさせられることは多いです。

 私自身は、リベラルアーツの「リベラル」に「自由を認める、進歩的な」といったイメージを漠然と持っていました。しかし、以前に「リベラルには、人間らしい「自由な市民」になりたいという希求がこめられている」と書かれているものを見て、そういうことか、と思いました。アーツは今日的な芸術のみならず広く「技芸、技能」を指し、「リベラルアーツ」は、他者に(奴隷的に)拘束されず「自由な市民」として生きるために身につけるべき技能、ということです。そうであれば、学生が自由に好きな科目を選べばよいということはなく、少し厳しいガイダンスも必要かもしれません。好物ばかり与えていたのでは、やはりバランスが偏ります。肉好きのものにも魚や野菜を食べさせるようなこと、時には良薬口に苦し?、といったことも必要なのかもしれません。理系学生が社会に出て、個性を発揮しながら「自由な市民」として生き抜く。そのために何を学び、どんな技能を身につけるべきか、どのようなカリキュラムを習得するべきか、学生の判断に任せるだけでなく、KLACとしても考え続けることであると思います。

理工学部教授 平野 利幸