大学コンソーシアム京都「第24回FDフォーラム」に出席しました

大学コンソーシアム京都「第24回FDフォーラム」に出席しました

2019.03.31
教育開発支援機構FD推進センターの教職員が、大学コンソーシアム京都主催の「第24回FDフォーラム」に出席いたしましたので報告いたします。

今回のテーマは「大学におけるダイバーシティ」。ダイバーシティの重要性が訴えられる昨今、多くの人々が集う大学も向き合い方を真剣に考えなければなりません。
2つのシンポジウムから多くの気づきを得ることができました。

出席した各メンバーの感想や意見等を以下に掲載しておりますので是非ご覧ください。

■ 開催概要
テーマ:
大学におけるダイバーシティ

日 時:
2019年3月2日(土)13:00〜17:00 シンポジウム
【シンポジウム(1)】
[テーマ]
大学に集う人々の多様性に以下に向き合うか
[シンポジスト]
ウスビ・サコ氏(京都精華大学 学長)
日高 庸晴氏(宝塚大学 看護学部 教授)
あかた ちかこ氏(大阪市立児童自立支援施設阿武山学園 講師)
松波 めぐみ氏(立命館大学 生存学研究センター 研究員)
[コーディネーター]
山田 創平氏(京都精華大学 人文学部 准教授)

【シンポジウム(2)】
[テーマ]
社会人の「学び直し」と大学教育
[シンポジスト]
稲永 由紀氏(筑波大学 大学研究センター 講師)
野澤 正充氏(立教大学 副総長/立教セカンドステージ大学 副学長)
岡田 忠克氏(関西大学 学長補佐/人間健康学部 教授)
平居 聡士氏(学校法人立命館 総務部 秘書課長)
[コーディネーター]
村上 正行氏(京都外国語大学 外国語学部 教授)

 
2019年3月3日(日)10:00〜15:30 分科会
分科会一覧:
教学IR:ケーススタディーから学ぶデータの活用方法
学部・学科教育の改革・改善をいかに進めるか
学生エンゲージメントと自立を促す支援としかけ〜学生に関わる専門職の立場から〜
大学地域連携を通じての学生教育
特別支援学校教員養成における主体的な学修と地域連携の在り方について
LMS(学習管理システム)を生かした教育改革
理工系コーオプ/インターンシップ教育における学生、企業人、大学教職員の協働と成長
セクシュアル・マイノリティ学生にやさしい大学づくり
生命科学部の教育のあり方を考える
アクティブ・ラーニングを推進するための検討会―小・中学校で行われている授業体験と大学における主体的・協働的な授業―
障がいのある学生に対する教育的支援の現状と課題
 
【会 場】立命館大学 衣笠キャンパス(公益財団法人 大学コンソーシアム京都主催)
 
 ■参加報告 
・竹口 圭輔(FD推進センター長)
 初日は「社会人の「学び直し」と大学教育」をテーマとしたシンポジウムに参加した。本学でも,大学院を中心に社会人を広く受け入れているが,いわゆる「人生100年時代」を迎えるにあたって,そもそも「社会人」とは誰なのか,今後はターゲットを明確にした上でプログラムを作っていく必要があるであろうと感じた。
 2日目は「学部・学科教育の改革・改善をいかに進めるのか」をテーマとした分科会に参加した。比較的小規模な学部における事例紹介が中心ではあったものの,学部・学科といったミドルレベルでのFDを進めていくためには,何よりもまず改革コンセプトを確立することが大切であるというメッセージは大規模学部にも十分通用するものであると感じた。そこから先の方法論については工夫が必要だとは思うが,今回知り得た手法や知見は,学部の教育改善や組織開発にもヒントを与えるものであり,今後しっかりとフィードバックしていきたい。
 
・山本 兼由(FD調査プロジェクトリーダー)
 2日(土)の「社会人の「学び直し」と大学教育」シンポジウムは、18歳減少を動機とした大学および大学院での生涯学習とリカレント教育の具体事例などが紹介された。特に、履修証明プログラムを利用した生涯学習支援が大学の役割の一つと感じた。
 3日(日)に参加した「学生エンゲージメントと自立を促す支援としかけ〜学生に関わる専門職の立場から〜」分科会は、アカデミック・アドバイジング、心理カウンセリング、キャリアサポートの現場経験を踏まえた報告があり、それをベースに学生の主体的就学をサポートするしかけについて議論した。発達する情報科学は知識や情報を手軽に入手できる高い利便性を与えているが、一方学生は知識や情報をじっくりと考える機会が減っており、その辺りの就学サポートの必要性を改めて確認できた。また、就学サポートを設定する場合、3つのポリシーなどをベースとする意見などが参考になった。これらの情報を生かし、今後のFD推進センターの活動をより発展させたい。 

・佛坂 公子(学務部教育支援課長)
 1日目のシンポジウム?「社会人の『学び直し』と大学教育」では、筑波大学稲永由紀講師から、高等教育政策における社会人教育の変遷、他国との比較から見た日本のライフコースモデル(フロントエンド型モデル)と大学教育との関係、今後起こり得るモデルの変化、これまでの「専門人」養成を目的とした大学教育から職業的レリバンスを考慮した「職業人」養成へと移行することの意味について講演があり、勉強になりました。講演の冒頭で「“社会人”とはどのような人たちのことを指すか」との問いが発せられ、今後の日本のライフコースモデルでは「成人学生」や「勤労学生」を含むすべての層が“社会人”となり得るのだと、認識を新たにしました。学生の年齢の多層化に向けた対応や成人教育の検討など、大学の課題はますます増えていくようです。本学が社会人向けの課程を検討する際、どの層をターゲットにするかを定めることが、教育課程の編成上、重要な意味を持つと思いました。
 2日目の第2分科会「学部・学科教育の改革・改善をいかに進めるか」のうち、北陸大学山本啓一学部長の講演「学部マネジメントの手法」では、個々の政策や取り組みを進める狙いが明確で、学部長としての方針や意思がしっかりしているとの印象を持ちました。このようにメッセージ性を有する姿勢は、マネジメントを行う上で大切であろうと思います。「オープンキャンパスは入学前教育の場と位置づけプログラム化した。また、その対応にあたる学生スタッフの育成にも力を入れている」との考え方や「学部による新規教員採用研修」の紹介など、大規模大学にそのまま流用できるかは検討が必要なものの、ミドルレベルのマネジメントを考える上で参考になりました。その他、藍野大学斎藤有吾助教の学習成果を起点とした教育改善と教学IRに関する講演、京都橘大学西野毅朗講師の見事なファシリテーションなど、大変勉強になりました。

(学務部教育支援課教育支援担当主任)
 FD活動が対象とする範囲が学部教育だけでなく,社会人の学び直しといった広範囲となっていることに対して驚くと共に,各大学におけるそのFD活動に対する温度差がますます広がるのではないかと感じた。参加した分科会「LMS(学習管理システム)を生かした教育改革」においては,スマートフォンやタブレットの普及をはじめインターネット環境の充実といった外部環境の劇的変化がある中,大学においては,その外部環境の変化に対しての対応を積極的な姿勢をとる大学もあれば,全く消極的な大学もあることがディスカッションを通じて明らかになっていた。キーパーソンとなる教員を擁する大学かどうかによって,大学間でその差が大きく開くことが推察されることから,今後のLMSの活用については大学間で二極化が進むであろうと感じた。
 
・堀内 剛(学務部教育支援課教育支援担当課員)
 1日目のシンポジウムのパネリストの人選がそれぞれ大学のグローバル化、性的マイノリティ、障害者差別解消、児童自立支援等を主なテーマとして活躍する第一線の方々であったため、各分野の最前線の知見が得られる内容であった。一方で「大学に集う人々の多様性にいかに向き合うか」との全体テーマに昇華・収斂することは非常に困難であり、改めてLGBTsが抱える裾野の広がり、奥深さを実感することになった。
 2日目は「教学IR:ケーススタディーから学ぶデータの活用方法」をテーマとする第1分科会に参加した。講演では、大阪大学における教学ダッシュボード、大阪府立大学の内部質保証システムの実践事例に対して大きな反響があり、傾聴すべき内容であった。後半は教学IRのためのツール解説などの技術的な話題が中心となってしまったことが残念であった。
今回得られた貴重な経験を今後の業務にぜひ利活用できるようにしたい。
 
・堀越 大史(学務部教育支援課教育支援担当課員)
 シンポジウムでは,グローバルの視点,LGBTsの視点,障害者の視点から「多様性(少数派)」について学ぶことができ,これからの学生対応を考える上で大変刺激を受けました。多様性とどのように向き合っていくのか、大学にとっても私にとっても考えていけなければならない課題だと感じました。
 第3分科会では,アカデミック・アドバイジングの視点,学生相談(カウンセラー)の視点,キャリア教育・支援の視点から「学生エンゲージメントと自立を促す支援としかけ」について,意見交換することができました。学生をいかに授業に参加させるか(学習意欲を上げるか),学生の自立をどのように促すのか,各大学の先生方の悩みや工夫を知ることができ,勉強になりました。
 
・石毛 満悠(学務部教育支援課教育支援担当課員)
 参加シンポジウム:「大学に集う人々の多様性にいかに向き合うか」
人種、民族、国籍、ジェンダー、セクシュアリティ、障がいなどの観点からの講演を拝聴し、日々の業務において参考にすべきものが多くありました。事前に完璧に準備する必要はなく、問題が起きた時点でどうすればいいか話し合い、みんなで解決していけば良いという考え方が新鮮で、新たな気づきとなりました。
参加分科会:「セクシュアル・マイノリティ学生にやさしい大学づくり」
本分科会では、教職員の講演から知識を得られたとともに、当事者学生から実情や要望などを知れる機会となり、貴重な経験でした。ハード面の整備など親切心で行っているつもりでも、当事者にとっては必ずしもそうでないということを知ったため、今後そのような場面に関わった際には、きちんと確認を行うように心がけていこうと思いました。

・安藤 光平(学務部教育支援課教育支援担当課員)
 初日は『社会人の「学び直し」と大学教育』をテーマとしたシンポジウムを聴講した。基本的に、過去から現在までのデータや登壇者の大学の事例報告等であったが、大学業界全体としての課題を再確認する良い機会であった。社会人という大枠の中でどの層にターゲットを設定するのか等、どの大学も試行錯誤しながら取り組んでいる様子が見受けられた。
今後、超高齢化・少子化社会を迎えるにあたり、「社会人」に目を向けるのは必然的な流れであると思うが、日本社会の構造的な問題からも極めて取り組みにくい問題であると改めて認識した。今後の動向を注視していきたい。
 2日目の分科会では、「アクティブ・ラーニングを推進するための検討会」に参加した。パネラーが小中学校の元教諭等であったこともあり、普段の大学関係者による講演とは一風違い、非常に新鮮であった。
どのパネラーも共通して伝えていた「アクティブ・ラーニングは手段であり目的ではない」とのメッセージが印象に残っている。確かに、近年「アクティブ・ラーニング」という言葉のみが先行してしまい、「とりあえず」ディスカッションやグループワークを行っている印象がある。学生FDスタッフをはじめとするピア・ネットにおいても、合同研修会等でグループワーク等を行うことがある。その際にも、何を伝えたいのか、伝えるために効果的な方法は何なのか、を我々教職員が明確に認識しておく必要があると感じた。

 

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