法政大学の教育課程における生成AI利用に関する基本的考え方

法政大学の教育課程における生成AI利用に関する基本的考え方

2026.09.28

法政大学の教育課程における生成AI利用に関する基本的考え方


                                                   法政大学教育開発支援機構
                                                  教育開発・学習支援センター


1.はじめに

生成AIは急速に発展し、社会に広く普及しつつある技術です。教育の質を高め、学生のみなさんの主体的な学びを支える可能性を持っている一方で、学問的誠実性や公平な評価、情報セキュリティ等の面で、これまでになかった課題ももたらしています。本学は、生成AIを一律に禁止するのではなく、その特性を正しく理解したうえで、教育上の目的にかなう適切な利活用を進めていくという立場をとります。この「法政大学の教育課程における生成AI利用に関する基本的考え方」(以下、「基本的考え方」)は、そうした考え方にもとづいて、教員と学生が共有したい基本的な原則をまとめたものです。
 

2.目的

この「基本的考え方」は、法政大学の教育課程における生成AIの利用について、教員と学生が共有すべき基本方針を示すものです。学修成果の達成、学問的誠実性の確保、情報倫理・情報セキュリティへの配慮を前提としながら、適切な利活用を進めていくことを目的としています。
 

3.「基本的考え方」における生成AIの定義

この「基本的考え方」でいう「生成AI」とは、利用者からの入力にもとづいて、文章、画像、音声、動画、プログラム、要約、翻訳、分析結果等、新たな出力を生成する人工知能システムを指します。ネットワーク上のサービスとして提供されるもの、大学が提供するもの、個人が利用するもの、アプリケーションや学習支援ツール等に組み込まれているものも、すべて含みます。
 

4.適用範囲

この「基本的考え方」の適用は主に学部(通信教育課程を含む)の教育課程とし、そこで教育を担当するすべての教員と、そこで学ぶすべての学生を対象とします。ただし、大学院の各教育課程においても、必要に応じてこれを参照してください。なお、ここでいう教育課程には、授業、課題、レポート、試験、卒業論文、演習、実習、実験、フィールドワーク等、教育上のあらゆる学修活動が含まれます。 
 

5.「基本的考え方」と各ガイドラインの位置づけ

(1) この「基本的考え方」は、本学の教育課程における生成AI利用について、全学共通の基本原則を示すものです。各学部・学科等は、それぞれの教育目的、学問分野、課程の特性に応じて、必要とされる補足的な定めを置くことができます。
(2) 担当教員は、授業の到達目標、課題の性質、評価方法に応じて、生成AIの利用を許可したり、制限したり、禁止したりすることができます。その場合は、利用の可否、利用条件、開示の方法、評価上の扱いを、シラバス、授業内での説明、LMSでの掲示、課題指示等を通じて、履修する学生に明確に示してください。詳細はこの「基本的考え方」の趣旨にもとづいて別に定める「法政大学 教員向け生成AI利用ガイドライン」を確認してください。
(3) 学生のみなさん向けの具体的な注意事項は、この「基本的考え方」の趣旨にもとづいて別に定める「法政大学 学生向け生成AI利用ガイドライン」でご案内します。同ガイドラインでは、生成AIの基本的な性質、日常的に利用するうえでの注意点、授業での利用、学問的誠実性、利用の明示、禁止事項、推奨される活用例等を取り上げます。
 

6.基本原則

(1) 生成AIの出力を利用する場合、最終的な判断と責任は利用者自身が負うことになります。必要に応じて、生成AIをどのような目的で、どの箇所に、どの範囲で使ったのかを説明できるようにしておいてください。
(2) 生成AIを利用するときは、学問的誠実性、情報倫理、著作権、個人情報保護、情報セキュリティ、そして教育上の公平性に配慮してください。
(3) 生成AIは、学生のみなさんの学びを代行するものではなく、学修を支えるためのツールです。生成AIの出力をそのまま受け入れるのではなく、自ら問いを立て、根拠を確かめ、批判的に検証し、自分の言葉で説明できる形に組み立て直すことが大切です。
 

7.教員による生成AIの利用

(1) 教員のみなさんは、担当する授業の教育目的に照らして、授業準備、教材作成、課題設計、フィードバック、授業改善等の場面で、必要に応じて生成AIをツールとして利用することは自由です。
(2) 教材や授業内資料に生成AIの出力を用いる場合は、必要に応じて、その事実を学生に示してください。出力内容については、教員自身が正確性、適切性、著作権をはじめとする権利関係を確認し、最終的な責任を負っていただくことになります。
 

8.学生による生成AIの利用

(1) 学生のみなさんは、履修する科目の学修において、担当教員の指示に従いながら、生成AIを学修支援の道具として利用することができます。ただし、生成AIを使った場合でも、最終的な学修成果物については自ら責任を負うことになります。
(2) 担当教員が認める範囲であれば、生成AIの出力を参考資料、アイデア出し、論点整理、文章の推敲、翻訳の補助、プログラミングの補助等に活用することは許容されます。ただし、生成AIの出力そのものを、自分が作成したレポート、論文、発表資料、プログラム等の学修成果物として、そのまま、あるいは形式的に手を加えただけで提出することは許されません。
(3) 生成AIは、学術論文における著者や根拠文献として扱うものではありません。生成AIの出力を参考にした場合でも、事実、データ、理論、文献等については、できるかぎり一次資料や信頼できる資料にさかのぼって確認し、その資料を適切に引用してください。
(4) レポート、論文、発表資料、プログラム等の学修成果物を作成するにあたって生成AIを利用した場合は、担当教員の指示に従い、利用した事実、利用の目的、利用した範囲を明示してください。
(5) 担当教員から指示があったときは、次の事項を明示してください。
 (a) 利用した生成AIサービスの名称、開発元または提供元、モデル名・バージョン
 (b) 生成AIを利用した日、目的、箇所または範囲
 (c) 出力内容をどのように検証したか
 (d) 最終的な成果物において、自分自身がどのように修正、再構成、判断を行ったか
(6) 担当教員が必要と認める場合に備えて、次の事項を追加で提出したり説明したりできるよう、記録を残しておいてください。
 (a) 生成AIに入力したプロンプトや指示内容の概要と、その出力内容
 (b) 利用時の環境設定ややり取りの履歴
 (c) 出力内容の検証に用いた資料、文献、データ
(7) 生成AIの出力を本文中で直接引用したり要約して用いたりする場合は、担当教員が指示する引用形式に従い、生成AIを利用したことが読み手に伝わるように記載してください。広く知られているものには、APAフォーマット[1]、MLA(Modern Language Association)フォーマット[2])等があります。
[1]https://apastyle.apa.org/blog/cite-generative-ai-references
[2]https://style.mla.org/citing-generative-ai
 

9.入力してはならない情報

教員および学生のみなさんは、生成AIに次のような情報を入力しないでください。
(1) 個人情報、プライバシーに関わる情報、成績情報、健康情報等、個人の権利利益を損なうおそれのある情報
(2) 研究上の秘密、未公開の研究データ、未発表の論文、共同研究先や実習先等から得た秘密情報
(3) 試験問題、採点基準、非公開の授業資料等、教育上の公正性を損なうおそれのある情報
(4) 他者の著作物、論文、レポート、プログラム、画像、音声、映像等で、権利者の許諾や授業上の明確な指示なく入力することが適切でない情報
(5) 他者の名誉、人格、権利を害することを目的とした虚偽または不適切な情報
(6) その他、公開されることで本学や第三者に不利益を生じさせるおそれのある情報
 

10.本学が提供する生成AIサービス

本学が教育・研究目的で提供する生成AIサービスがある場合は、できるかぎりそのサービスをご利用いただくことをおすすめします。本学が提供するサービスでは、大学の契約にもとづき、入力したデータがAIモデルの学習に利用されない等、教育機関向けの保護が適用されます。
ただし、本学提供のサービスであっても、個人情報、機密情報、未公開情報、権利関係に問題のある資料を入力してよいということではありません。この「基本的考え方」および本学の情報セキュリティに関する規程・方針を守ってご利用ください[3]。
[3]法政大学における情報セキュリティポリシー:
https://www.hosei.ac.jp/hosei/daigakugaiyo/rinen/hoshin/torikumi/security/
 

11.合理的配慮としての利用

障がい等によって学修上の困難を抱えている学生が、文章作成、読み上げ、翻訳、要約等の支援を目的として生成AIを利用する場合には、必要な合理的配慮の一環として、その利用が認められることがあります。
この場合は、障がい学生支援室と授業担当教員にあらかじめご相談いただき、利用の範囲や方法について確認するようにしてください。
 

12.教員による利用の制限

担当教員は、授業の到達目標、課題の性質、評価方法に照らして必要と判断する場合、その授業や課題における生成AIの利用を禁止したり制限したりすることができます。
その場合は、禁止・制限の内容、その教育上の理由、違反した場合の評価上の扱いを、シラバス、授業内での説明、LMSでの掲示、課題指示等を通じて、履修する学生に明確に示してください。
 

13.成績評価上の扱いと不正行為への対応

(1) 生成AIの利用が禁止または制限されている授業・課題において、その指示に反して学生が生成AIを利用した場合、あるいは生成AIの出力を自らの成果物として提出した場合、担当教員は、成績評価においてその提出物を評価対象外とすることができます。
(2) 担当教員は、授業内であらかじめ周知している場合には、行為の内容や程度に応じて、その課題の評価を減点したり、未提出として扱ったり、科目全体の成績評価に反映させたりすることができます。
(3) 学則その他本学の規程に定める不正行為や懲戒事由に該当する可能性がある場合は、所定の手続きに従って対応します。
 

14.AI検出ツールを用いる際の留意点

(1) 生成AIの利用の有無を推定する検出ツールには、判定の精度に限界があります。人間が書いた文章を、誤って生成AIによるものと判定してしまう場合があることに留意してください。
(2) 教員は、検出ツールの結果だけをもって不正行為を断定しないでください。学生への事情確認等の手続きを経たうえで、総合的に判断するようにしてください。
 

15.AIガバナンスと支援体制

(1) 本学は、生成AIを教育課程で安全かつ有効に活用していくために、AIガバナンスの整備を進めます。ここでいうAIガバナンスとは、生成AIの利用に関する方針、ルール、教育、相談、検証、点検・更新を含む運用の仕組みのことです。
(2) 本学は、必要に応じて、学生と教員に向けたリテラシー教育、FAQ、相談の窓口、授業運用のテンプレート、本学提供の生成AIサービスに関する情報提供を行っていきます。
 

16.継続的な見直し

生成AIをめぐる技術、サービス、利用規約、法制度、教育実践は急速に変化しています。この「基本的考え方」は、学内での利用状況、技術の動向、教育上の課題、国や社会の動き等を踏まえて、必要に応じて見直していきます。


※学生向け、教員向けのガイドラインにつきましては、Web掲示板(学内者向け)でご案内しております「学生向け生成AI利用ガイドライン」「教員向け生成AI利用ガイドライン」をご参照ください。

pagetop